1.テントの使い方
▼テントを張る場所
▼テントの固定
▼テントのたたみ方
2.テントのメンテナンス
▼いつまでもテントをきれいに使うには
▼よくあるトラブル1(破損)
▼よくあるトラブル2(水関連)
▼簡単にできる修理1(リペアスリーブの使い方)
▼簡単にできる修理2(リペアシートによる修理)
Q1.
風があるときにテントを張る場合の注意点は?
Q2.
張り縄はどのように張ったらいいですか?
Q3.
雪や砂で、ペグを地面に打ち込めない時はどうすればいいですか?
Q4.
テントを上手にたたむ方法を教えてください。
Q5.
テントから、水が垂れてきました。漏水でしょうか?
Q6.
キャンプ中にフレームが折れてしまったので、応急処置をしたいです。
Q7.
テントに小さな穴が開いてしまったので、塞ぎたいです。
テントを張る場所
テントは、どこにでも張ってよいというものではありません。キャンプ指定地以外では、必ずその場所でテントを張ってよいのか地元の人に確認を取ってから設営してください。
山間地においても、キャンプ指定地以外での設営は行えない場合がほとんどです。美しいフィールドを維持するためにも、その場所を訪れる一人一人の意識の持ち方が重要です。
上記のような条件をクリアしたうえで、テントを張るのに適さない場所があります。
このような場所を避けて、なるべく平坦で日当たりのよい場所を選んでテントは設営してください。
なお、自立式のテントであっても必ずペグなどでテントの固定は行うようにしてください。
テントの固定
テント破損の最大の原因は「風」です。
特に自立式テントの場合は、ペグなどで適切な固定を行わないと風が吹いたときに大変困ったことになってしまいます。
固定していないテントに風が吹くと、吹き飛ばされてどこかに飛んで行ってしまいます。
テントは想像以上に飛ばされやすく、飛ばされたテントは簡単に破損します。布地が破れたり、フレームが折れたりします。
テントの中に荷物を重石代わりに置いていたりすると、風に吹かれてテントが動くときに、中の荷物と地面の間に挟まれたフロア部分がこすれて摩擦で穴が開いてしまいます。
かなり厚いテントのグランドシート布地でも摩擦の負担がかかると、簡単に穴は開いてしまいます。
風に上手く対応してテントを設営するためには、設営の場所選びも重要ですが、上手にテントを固定することも大切です。
テントを固定するのに重要な役割を果たすのが「ペグ」と「張り綱」です。
テントの固定方法
1.テントを組み立てます
(自立式テントの場合)
2.テントの入口が風下側になるように入口の位置を決めます
入口が2カ所以上あるテントの場合、主として使う入口を風下側に向けます。
3.テントのフロア部分のペグループ全てをペグもしくはその他の手段で固定します
テントの固定は必ず地面に近い側から行ってください。
4.張り綱をペグもしくはその他の手段で固定します
張り綱の固定は下記のように行ってください。
ダブルウォールテントの張り綱
アウターテント(フライシート、外張など)に張り綱を通すトンネル(ガイラインホール)がある場合は、必ずその部分を通してインナーテントからの張り綱を、アウターテントの外に出して固定を行ってください。
張り綱の張り方向
張り綱はフレームのラインと揃えて張ってください。
フレームのラインと極端に違う方向に引っ張ると、フレーム破損の原因になります。
張り綱は必ず地面に向かって固定してください。
木などを利用して、地面より高い位置に固定するとテントに異なる方向の力が作用するため、テントの強度が大きく落ちてしまい破損の原因にもなります。
積雪期などでの張り綱のセット方法
テントの強度を維持するために、セットできる張り綱はすべて使用してテントの固定を行ってください。
フライシートなどについているゴム製のショックコードは、テントのインナーとアウターの接触を防ぐために取り付けられているものです。
強度を維持するための部品ではありませんのでご注意ください。
積雪期や、埋め込むタイプのペグに張り綱を固定する際には、固定用のペグが回収不能や、調整できなくなる場合も想定されるので、張り綱の取り付け方を通常と逆にしてください。
竹の十字ペグや枯れ枝などを雪中に埋めてよく踏み固めます。
凍結して回収不能になった場合は、張り綱を切断します。
支点から捨て縄を出しておけば、張り綱を切る必要はありません。
ペグを地面に打ち込めない時の固定例
上記のような固定方法をとる場合は、通常よりも張り綱の長さを長めにしておいた方が固定は行いやすいです。
張り綱の先に、延長分を結びつけるなどの方法で張り綱を延ばします。
こうした延長分を「捨て縄」などと呼んでいます。
テントのたたみ方
テントのたたみ方もテントをきれいに使う上で重要なポイントです。
通常、テントは地面の上に置いた状態で、中に折り込むようにしてたたみますが、この折り方にはいくつか欠点があります。
・防水加工を施したグランドシートが外側になるので、テントの中の空気が抜けづらいため小さくたたむことが難しくなります。
・汚れたグランドシートの外側がスタッフバッグの内側に付着してしまいます。
テント本体をきれいにしても、細かな泥汚れなどが残り、収納している間に異臭や汚れの原因となる場合もあります。
これから紹介するテントのたたみ方は、テントの空気を抜きやすく、地面に接しないでたたむことができる方法です。中に忘れ物をした場合に気がつきやすいという利点もあります。
テント本体を持ち上げてたたむので、小型のテントのほうがたたみやすいですが、大型のテントでも慣れればこのようにたたむことが可能です。
是非、一度試してみてください。
おすすめのたたみ方
1.テントをたたむ前に
テントの中に忘れ物がないかもう一度確認し、細かいゴミは外にはたきだしましょう。
テントの入口は完全に閉めずに、空気が逃げるように少し開けておきます。
2.テントフレームを抜く
テントフレームを抜きます。
フレームは引き出してはいけません。途中でジョイント部分が外れてしまいます。必ず押し出してください。
フレームが抜けたら、テントの中の空気を外に逃がしてください。
3.フレームをしまう
フレームを抜いたら、フレームを真ん中から半分ずつに折っていきます。
その方が、フレームのショックコードに均等に負担がかかり、たたみやすいです。
4.二つ折り
テント本体の四隅を持ち、同じパーツがついている部分を合わせるようにします。
地面にテントをつけないように気をつけてください。
5.四つ折り
テントの側面の真ん中を顎で押さえて半分に折ります。
6.さらに半分に折っていく
5と同じようにして、さらに半分に折ります。
これを何回か繰り返してスタッフバッグの長さより少し長くなる幅にします。
7.フライシートと一緒に丸める
フライシートもテント本体と同じようにたたみ、テントの上に重ね、固めに丸めていきます。
スタッフバッグの口周りよりも少し細目に巻くと簡単にしまうことができます。
スタッフバッグの口からはみ出た部分は簡単に押し込むことができます。
次に山に行くときにより良い状態で山に向かうために、山から帰ったら用具のメンテナンスと点検を必ず行いましょう。
用具の破損箇所や不具合などは早めに修理に出しましょう。山に行く直前では修理などの対応が間に合わない場合もあります。
山を楽しむためには道具をきちんとケアすることはとても重要です。
いつまでもテントをきれいに使うには
新しい買ったばかりのテントの中には、さわやかな空気とテントの布地の匂いしかしません。
ところが、何回か使っていくうちに、いつしか独特の湿っぽくてカビ臭いような、泥臭いような臭いが染みついてしまうことがあります。
テントの洗濯は避ける
テントは普通の方法では洗濯することができません。テントの汚れを取り除くには、乾燥させた上でその汚れをはたき落とすか、ひどい汚れの場合はその部分をぬるま湯などに漬けて、良く絞った布で拭いてください。水を使用した場合は、テントを乾燥させた上で収納してください。
設営した状態で乾かす
テントをきれいに使うために一番重要なことは、濡れたまましまいこまないことです。
フィールドではいろいろな状況があるので、ある程度濡れたまま収納するのはやむを得ないことですが、フィールドから戻ってきたら必ずテントを干して(乾燥させて)から収納するようにしてください。
必ずフレームをセットして設営した状態で干してください。
物干しなどに濡れた状態でかけて乾燥させることは、しわ・剥離などの原因になる場合があります。
なるべく直射日光を避けて、風通しの良いところで陰干ししてください。
テントが風で飛んでしまわないように注意してください。
テントの中に物を入れたままたたまない
テントの異臭や汚れの原因になるだけでなく、破損の原因にもなります。テントをたたむ際には、必ず中を点検して忘れ物がないか確認してください。テントの中の細かいゴミや、付着したゴミの類を落としておくことも、きれいなテントを維持するための大事なポイントです。
よくあるトラブル1
ー 破損 ー
フレームの破損
フレームの折損の主な原因の一つに「接続不良」があります。
また、きちんとテントを固定し「張り綱」を適切に使用することでフレームの破損を防ぐことができます。
張り綱の張り方はこちら
▶『テントの固定方法』
フィールドでフレームが折損したら
▶『リペアスリーブの使い方』
布地の破損
テントのほとんどが化学繊維で作られています。化学繊維は一般的に摩擦や熱に弱く、使い方を間違えると簡単に穴が空いてしまします。
小さな穴については、リペアシートなどで簡単に修理できます。
大きな裂け目でも、直線状のものであれば「ダクトテープ」などで一時的な補修は可能です。ただし、「ダクトテープ」などによる修理はあくまでも一時的なものですので、下山後にきちんと修理を行ってください。
小さな穴を簡単に修理する方法
▶『リペアシートによる修理』
ファスナーの破損
ファスナーのスライダーは消耗品です。
スライダーの交換方法はテントの作りによって色々なケースがありますので、自分で直せない場合もあります。少しでも不具合を感じたら、早めにメンテナンスをしてください。
スライダーをペンチなどで「絞める」のはファスナーのレールの破損の原因になるので行わないでください。
よくあるトラブル2
ー 水関連 ー
結露
テントの水にまつわるトラブルで最も多いのが、「結露」を「漏水」と間違えるケースです。
結露の発生は、防ぐことができない現象です。特にテントやシェルターは防水布地を使用していますので、そうした部位に結露は顕著に発生します。
漏水
シームテープにも弱点があります。
テントの構造から、シームテープでは防水加工を行えない部位があります。
シームテープとテント表面の布地との間に何らかのパーツが挟まっている部位は、その箇所から漏水する可能性があります。漏水を防ぐためには、テントの外側にシームコートなどの防水目止め液を塗りこんで、防水加工を行う必要があります。
また、ダブルウォールテントの場合、フライシートとインナーテントが密着してしまうと、そこから水が浸入してくる場合があります。
フライシートとテント本体との間の空間がきちんと確保されるよう注意してテントを設営してください。
撥水性能の低下
テントやフライシートの布地の表面には撥水加工が施されていますが、何回もテントを使用すると、その効果がだんだん低下していきます。
撥水性能が低下した布地には、市販の撥水剤など用いて撥水性能を回復させる必要が生じます。撥水加工を行う前には、必ず布地表面の汚れを取ってから行ってください。
シームテープの剥離・
シームコートの使い方
テントやフライシートで縫い目部分の防水加工を担っているシームテープは、布地に加工されたウレタン樹脂に対して熱圧着加工をして貼り付けられています。ウレタン樹脂は時間がたつと加水分解し、シームテープが剥離します。残念なことですが、現段階ではどのような時間経過および使用状況がこうした加水分解をもたらすのか、明確な基準はありません。
剥離したシームテープは再び貼り直すことができる場合もありますが、剥離の状態によっては再加工が困難な場合もあります。再加工が困難なシームテープの剥離が生じた際に有効なのが、シームコートなどの防水目止め液です。
シームコートで防水加工を行う場合は、必ずシームテープが貼られているのとは反対側(通常、テントの外側)に塗布するように注意してください。
簡単にできる修理1
ーリペアスリーブの使い方ー
リペアスリーブとは
リペアスリーブは、フィールドなどで万が一フレームが折損した場合に、臨時に折れた部分を補修するパーツです。折れた部分にかぶせて、骨折時のギブスのようにして使用します。(※リペアスリーブが付属していない場合もあります。)
1本のリペアスリーブが対応できるのは、1箇所のフレームの折損だけです。
また、何本かのフレームが集中する「ハブ」を使用したフレームでは、リペアスリーブが使用できない場合もあるのでご注意ください。
リペアスリーブの使い方
1.折れたフレームに、リペアスリーブをはしから通します。
2.リペアスリーブを折れた部分に重ねます。
3.両端を絆創膏などで固定します。
4.リペアスリーブのついたフレームを、そのままフレームスリーブに通します。
5.後は通常と同じように、テントを設営してください。
簡単にできる修理2
ーリペアシートによる修理ー
リペアシートで補修できるもの
リペアシートによる修理は、小さな穴などに有効です。
3cmを超える大きな穴の修理はリペアシートではできません。
また、ダウン製品などの中綿入りの製品も不向きです。リペアシートの接着面にダウンなどの中綿が付着してその機能を著しく低下させる恐れがあります。
同じように、ゴアテックスなどの防水透湿素材の修理にも不向きです。
リペアシートの使い方
必要な道具
・リペアシート
・はさみ
・ドライバーのグリップエンドのような固くて丸い棒状のもの
1.補修する穴の周囲の汚れ等をきれいにする
2.穴の大きさに合わせてリペアシートを切る
リペアシートは角ができないように丸く切ってください。角があると、そこからはがれる場合があります。
3.リペアシートを貼る
隙間や気泡、たるみなどができないように貼ってください。
4.圧着させる
平らで滑らかな台の上に乗せて、リペアシートの上からドライバーのグリップエンド等の丸いものでこすり圧着させてください。
5.裏側からもリペアシートを貼る
補修した穴から露出しているリペアシートの接着面をそのままにしていると、そこにゴミなどが付着して、剥離の原因になるので、必ず裏側からも貼ってください。
6.完成!